【解説】造花のブーケ

解説記事

謎Jです。7作目である『造花のブーケ』の解説をいたします。本記事をご覧になる前に、『飲みサーの吸血鬼』『怪盗ハッチさん』の楽曲や解説をお読みになることをオススメいたします。

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『飲みサーの吸血鬼』との関連性

この楽曲は、謎Jのある楽曲を意識して制作していることに気づいた方も多いのではないでしょうか。
実際、この曲は『飲みサーの吸血鬼』のアンサーソングみたいな位置づけの作品です。
そのため、歌詞・メロディ・映像の随所に共通する要素を散りばめています。

紫=飲みサーの吸血鬼間奏メロディ 赤=造花のブーケのメロディ

この画像は「ピアノロール」と呼ばれる、一種の楽譜のようなものです。
今回は、『飲みサーの吸血鬼』の間奏メロディと、『造花のブーケ』サビのメロディラインを重ねたものを表示していますが、ご覧のとおり、ほとんど一致しているのがわかると思います。実際、間奏に何気なく歌詞をつけて歌ってみたところ、思いのほかしっくりきたため、「いっそ新しい曲にしてしまおう!」という流れで『造花のブーケ』の制作がスタートしていました。
なお、歌いやすい音域に調整するため、完全に一致しているわけではありません。

左=飲みサーの吸血鬼 右=造花のブーケ

Bメロは構図から文字の動かし方までほとんど一致させています。よかったら交互に視聴してみてください。

アンサーソングとはいいますが、歌詞の主軸となるものは二人の間で全く違います。『飲みサーの吸血鬼』の主人公であるルナさんは、多様化に属せない、決められた色から外れた黒や白のようなものとして描写しましたが、『造花のブーケ』の主人公であるハッチさんは何色でもなく、色を持たない透明のようなものとして描写しています。…少なくとも冒頭では。

そのため、『造花のブーケ』の主人公であるハッチさんは、多様化がどうだの言ってるルナさんのステージに立ってすらいなかったのです。

そんな「空っぽ」だった彼がそれまでどんな人生を歩んできたかは、また別のオハナシで…

画像は鏡越しのため左右判定してありますが、これはハッチさんが女装をした姿で、catHy(キャシー)という名前があります。(大文字の位置が変なのはHatchのアナグラムのため)男性の血を飲めないルナさんを騙してまで再度近づくため、彼が作ったキャラクターです。きょうだいとか別人格とかではなく、普通に彼本人です。

説明がややこしくなるので、この姿も含めて一律してハッチさんとして解説しますが、この楽曲はキャシーさんのイメージソングというテイで制作しています。

普通ではない花

この楽曲ではたびたび、変な咲き方をした花、いわゆる奇形花のモチーフを召喚しています。
帯化(たいか)って皆さん知ってますか?MVのラストサビで用いましたがこういうのです。

※改めて単品で見るとショッキングな見た目をしてるかもなのでワンクッション挟んでます。

説明が難しいんですが、自身をぐるんと取り囲んで大きくなっちゃったり、残像が消えず残っちゃったゲームバグみたいな咲き方をしてることです。信じがたいことですが実際にこんなことがあるらしいのです。皆さまも見たことがありそうなのは、やけにでかくて変な形のイチゴとかでしょうか。アレもその一種らしいです。興味のある方は調べてみてください。この1列に連なった花のモチーフはその現象が元ネタです。

こういう通常でない花の咲き方は、突然変異や外部からの刺激(受粉の失敗や損傷)によって起こるとされています。曲のテーマである造花は生き物ではなく、無機物からできた作り物なのでそんな現象に合うことはありませんが、吸血によって傷を付けられ、その結果突然自分になかったものが芽生えたハッチさんにはピッタリだと思い、今作のMVではこれらの表現を採用しています。

タイトルロゴはハナカマキリをモチーフにしてたりします。

花占いのシーン

MV中に、花占いを繰り返すハッチさんのシーンがありますが、後の表現も相まって、自傷の暗喩では?と解釈される方がコメント欄で散見されましたが、制作者としてはそのつもりではございませんでした。ア!!!解釈はどう受け取ってもらえたかが大切で、正解も間違いもありませんので、コメントを訂正したり指摘したりしないでくださいね!意図したところがうまく伝わってなかったらそれは自分の力不足です!

ゴホン、オハナシに戻ります。この花占いのシーンはMV上の演出なのか、実際にやったのかは言及しませんが、これは単純な、相手の気持ちを確かめるためのシンプルな行為です。

ハッチさんは、その花占いを何度も何度もやっています。ルナさんに拒絶され、ジェシカさんにも去られ、「好き」と出たところで安心できなくて、「嫌い」だと決めたくなくて、何度も何度も繰り返しています。

その最中、ルナさんが自分の気持ちをバッサリと伝えたことで、「好き」と思われようと、「嫌い」と思われようと、ハッチさんは自身の抱く想いが何も変わらないと理解したのです。

ちなみにこのシーンは、座ってるハッチさんのシーツがウエディングドレスのように見えるかなと思って作った構図だったりします。

造花の印象

歌の歌詞で“造花”と聞くとどうもマイナスな意味合いを感じるかもしれません。偽物、嘘、不自然さ、飾り、体裁

この楽曲は先にタイトルをSNSにて発表しましたが、反応を見る限り、不穏な雰囲気を感じ取っている方が少なくなかったように思います。しかしこの歌では、一律して前向きな意味でその言葉を使用しています。

どんなに始まり方がいびつだったとしても、

利用され、騙されていたのだとしても

自分の中に芽生えたこれが不自然な作りものだったとしても

全ての出来事は彼にとっては素敵な思い出で、自分を良い方に変えてくれた出来事なのです。この想いを大切にして、見返りがなくても愛し続けると決めたのです。これは彼なりの感謝のメッセージで、『造花のブーケ』の全容になります。

本物の花だろうと作りものの花だろうと、それに込められる想いはきっと変わりません。ですが、もし吸血鬼のような永い時を生きるひとに花束を贈るのなら、半永久的に咲いていられる不滅の造花の方がいいのかもしれません。

受け取り主が喜ぶかどうかは別のハナシですが…

おわりに

今作はハッターズ1期の楽曲を投稿する合間の息抜きとして制作した楽曲MVだったのですが、結局今までで一番時間を使った作品になってしまったかもしれません…!今後しばらくはこんな絵があって動きありまくりの高カロリー映像は作らないです!!…多分。この楽曲は2025年のエイプリルフールの記事の前後に投稿予定でした。実際、ラストの歌詞は少しその記事の展開にも掛かっていたりします。
色んな事情が重なり、この楽曲は5/20に投稿されましたが、どうやらその日付は中国語で「愛してる」と音が似てることで有名なロマンチックデーだったらしいです。これは全くの偶然で、bilibili動画用に動画を編集してもらう際、翻訳さんに教えてもらって初めて知りました。

そういえば今作、謎J楽曲恒例のQRコードによる隠しページはございません。
廃止した主な理由としては、恒例となった故に隠し要素として機能しなくなったと判断したためです。それに加えて毎回見るためには読み込みが必要ですし、読み込めなかった際の案内をするのも正直大変なので、何かQR以外の手段で隠し要素を入れられたな~と考えております。次回作がどうなるかは分かりません!

次回は今度こそ殺椿イメソンの「くのいちサイボーグ」を投稿します!見て頂きありがとうございました!

comment

  1. ハッチさんはルナさんと会う前は自分以外の全てに色がついてるように見えていたのに、ルナさんに噛まれて愛に覚醒してからはルナさんの赤、白(灰がかった)、黒に加え、ハッチさんの目の色の青、合計四色(おそらく)のカラーになっていて、あなた以外見えていません……という風にとれてとても良きです。

  2. 「空っぽ」だった頃の彼のお話!めっちゃ気になる

  3. よく考えたら自己犠牲と良心とマキャベリズムが共存してるのすごくないか‌
    才能だよ天才だよ‌

    流石私のハッチさん‌

    早く嫁に来給え。

  4. ハッチさん‌
    ほんと自己犠牲と良心とマキャベリズムの化身だわよ。‌
    そんな君が好きだ‌

    私なら幸せにできる‌

    嫁にこい

  5. お久しぶりで嬉しかったです

  6. 本当に神曲すぎる…。次の楽曲も楽しみです!今回のQRコード、どこだろう…?あるのかな?‌
    記事の中の左右判定、反対の誤字だろうか…

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