謎Jです。2作目である『飲みサーの吸血鬼』公開からしばらく経ちました。たくさんのご視聴ありがとうございます。沢山の反響を頂き、身を固める思いです。
本記事では監督である自分が本作品に込めたテーマを解説をいたします。
映像・音楽の技術的な解説はほとんどございません。お付き合い頂けると幸いです。
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論理より感情で構成された文章が主になります。苦手な方はお気を付けください。
『飲みサーの吸血鬼』の裏テーマ
MVの映像ですが、男性の血を受け付けない吸血鬼のルナさんが、新入生くんの性別を間違えて持ち帰ったせいでとんでもないことに発展するオハナシでした。
これを『飲みサーの吸血鬼』の”表テーマ”とするならば、
“裏テーマ”は
「多様化に属せないヒト」になります。
…と言っても、裏テーマというには歌詞がダイレクトすぎて多くの方に真意を読み解かれてしまっていると思います。これから語ることは蛇足かもしれません。
色んなイミで問題作
この作品、発表するのめちゃくちゃ怖かったんですよ、分かるでしょう!?
処方!
詐称!
訴訟!
こんな作品ですから、多様化に対するアンチテーゼと受け取られても仕方ないと思います。しかし監督としては2重の意味でそれを否定するつもりはありません。
多様化の進む現代
このMV中は多種多様な人間やそれ以外が登場しています。元よりハッターズの世界は色んなキャラクターが居るので、この作品のためにそうしたというワケではないです。
改めてこのシーンに出てくるキャラクターでも紹介したいと思います。
■ 自由意思で動物性の血を飲まない吸血鬼 (女性)
■ 生まれつき草食のケモノ (男性)
■ 生まれつき肉食の食虫植物 (両性)
■ 頭に猫耳が生えている人間 (女性)
■ 幽霊 (生前は女性)
…と、十人十色な部員が仲良くしています。見た目じゃ分かりにくいくらい性別も色々です。
ちなみにルナさんは男性でも女性でもありません
虹色
このMVは紅色とグレー色で構成されていますが、サビになると急にレインボーカラー、すなわち虹色が入ってきます。虹色の並びって美しいですよね、
自分はカガクのなんたらには詳しくないのですが、虹色というのは可視光線の異なる波長に対応する色の範囲の並びで、人間が視認できる色相のすべてだそうです。
そんな美しいモノだから、アニメの表現で嘔吐表現を中和するために用いられたり…
そんな色とりどりなモノだから、どこかの星では多様性の象徴になったり…
虹の色って国や地域によって”数”が違うんですって、赤と黒の2色とか、ピンクを足した8色までバリエーションが豊かみたいです。監督は日本生まれなので日本で一般的な7色を採用しています。
自分は昔から虹色の並びが好きで、たしか6歳の歳の頃にはその構成色を記憶していたのですが、時たま教本によっては5色だったり6色だったりして、色が近いせいで青と統合されがちな藍色が可哀そうだなあとか思った記憶があります。何が言いたいワケではありませんが…
怒り狂った騎士団
あえて1,2番を端折りますが、本楽曲は3番に入ってから急に流れが変わります。飲みサーのみんなを始めとした第三者が介入してきます。これに対しての感情は、ここで歌われている歌詞が全てです。
受け入れろとか責任とれとか なんでキミたちが言ってるの? 否定とか拒絶の違いと起源が 伝わらないったら伝わらない! とっくに折り合い付いてるんだから もうそれで終わりでよくない? アンタらには関係ないでしょ 声がでかい!声がでかい!声がでかい! もっとクールになってくれ!
個人間のトラブルに対して大人数で加害者を糾弾する無関係の人々に対する問いかけです。
多様化を志す少数派は、自分たちのコミュニティを設立しているものです。そこに属するメンバーが何かの被害を受けた場合、一丸となって問題解決に取り組む様子が見てとれることがあります。それ自体は良いことです。ただ、個人間のトラブルを自分たちへの全体攻撃に捉えてしまう人たちが居るなぁ、と思うことがあります。
自分の好きな言葉に“少数派は声がでかい”というものがあります。これは他者の作品から拝借したもので、おそらくノイジー・マイノリティという社会用語を表したものです。後半の歌詞はそれを反映したものになります。
受け入れろとか責任とれとか なんでキミたちが言ってるの?
ちなみにこの楽曲のメインボーカルは鏡音レンですが、ここの歌詞だけ実はコーラスのリンちゃんもハッキリ歌っています。
新入部員くんのために物申してるサークルメンバーは無関係ではないかな…
公開してからの反響
日本語の楽曲なので日本人の視聴者が大半を占めているのは当たり前なのですが、なぜかこの作品だけ6分の1も海外の方です。(他の作品は16分の1くらいです)正直ヒヤヒヤモンです。
なぜなら海外の方は多様化という単語にめちゃくちゃ敏感なイメージがあるからです。こんなテーマをコメディチックに取り上げてる作品なんて下手したら大バッシングです。今のところは大体の方に好意的に受け取ってもらっているようで、99.1%の方にグッドボタンを押してもらっています。これが本当に良いことかどうかは分かりません。
「自分はマイノリティだけどこの作品クッソ面白いよ!」って人もいれば、
「自分はマイノリティだけどこの作品クッソ不快だよ!」なんて人もいます。
どちらも同じくらいありがたいコメントです。この2極した意見があってこそ、この作品が完成している気すらします。
こんな動画の投稿に踏み切ったのは、本作品が自身のこの信条から生まれたからです。
最近はうんざりするような事象をコメディに昇華できたら一番いいっすよねっていう考えでいる #創作において1番大切にしてること
— 謎J (@23rovelt) April 24, 2023
つまり嫌いなものを面白おかしくして馬鹿にしてるだけじゃねーか!!!
違う!違うんだよ!
上手く言葉にできないけど、
自分はこういう問題を…柔らかくしておきたいなと思うんです。
残念ながら、”多様化”にまつわるニュースにはネガティブなものも存在していて、その結果、総合的に悪い印象を持ってしまう人も居ると思ってます。正直自分も…慎重にならざるを得ません。
なぜなら、実写映画なんかで原作のキャラクターと見た目が大きく違う人を起用することにしたけど、売上がよくなかったり、今まであったスポーツの部門を誰でも参加できるように変えたせいで、ゲームバランスが崩壊してしまったり、少なくとも私の住む世界ではそんな話が目立っているからです。
これは、「やってみたけど上手くいかなかった!」という例だと思いますが、残念なことに、そのコミュニティの中の一部の人が問題行動を起こしたり、全く何の関係ない人が暴れたせいで、結果的にそのコミュニティ全体に悪評が広がったりなんてパターンも聞きます。
もちろん、良いニュースも聞き及んでいます。多様化が進んだおかげで好きな人と一緒に居ることができるようになったとか、えーと、他には何があったかな…
人間というのは悪い出来事ばかり鮮明に記憶してしまう動物とどこかで読んだことがあります。そういうものが積み重なって、良いイメージを上回って、触れたくないと思うものになってしまう人もいると思います。
自分はちょっと…そういうのを面白くして、柔らかくしておきたい。
隠し味のように…
しかし食べ進めていくとその隠し味は器の底にでかでかと丸ごと沈んでいて、きっとこの作品を初めて視聴した時にみんな「騙したな!」と思ったはずです。
でも柔らかく煮込んでおいたのでけっこう残さず食べてくれたと思います。
つまりそういうことです。
どういうことだよ!!
作者の自分語りコーナー
私は多数派の性に所属している人間とは言えません、少数派ですらないと思ってます。
この際だから言いましょう、隠しておきたかったのですが、私は履歴書の性別欄には♀にチェックを入れる人物です。昔々、自分は母親から女の子として育てられていましたが、なんとこのクソガキは一般的な雌の人間とはかけ離れた趣味をしていました。母親から買い与えられた女児向け雑誌の内容は何も覚えていないし、リカちゃん人形の衣服と髪の毛は剥ぎ取るし、弟と一緒にウルトラマンのソフビを上半身と下半身に解体して別のやつにくっ付けてキメラを錬成する遊びを好んでいました。母親に泣かれるという衝撃イベントだったのでどうも覚えています。
途中までは、”趣味が一般的な同年代の女から大きく乖離してるだけ”で別に女性として生きることに特に不満はなかったんです。というか精神にも性別があるなんて、そんな概念を知らなかったんですよね
まぁ、こういう概念を最近になってから知ったんだけど、俺もおそらくこのどこかに該当するのだろうと思ったんだよね、それで長年ずっと考えたんだけど、どうやら自分はこの色の中のどこにも属せないって結論が出てる
この中には白色も黒色もないじゃないか
こうやって多様化というものが可視化された途端、俺の居場所はどうやら無いことに気が付いたんだよ
ずっと不明瞭なままだったら良かったなんて考えてしまう、真っ当に苦労してる人達には悪いけども。居場所がないってのはちょっとおかしいな、正直にいうよ、自分はそういうものに分類されたくないんだよ
まぁ、分類されたくないならそれでいいじゃないか、だって別に誰かに強制されてるワケじゃなくて、自分が勝手にそんな気分になって苦しんでるだけだし、誰が悪いとかはなくて色んな空気が重なってこじらせただけの結果だよ!
いつかこの歌の歌詞が見当違いに感じられるほど、今よりも沢山のヒトが何も気にしないでいられる世界になっているといいなぁと思うけど、今はそうじゃないので言わせてください
あー!息苦しい!
comment
全部が全部、ひとつにするんじゃなくて、ひとつひとつの形を大切に尊重すべきと思う。白と黒も立派な色なのに、それも含め多様性なのに、どうしてこうもうまく行かないのかしら!
多様性って難しい!
少し前、普通に女、男じゃなくて、LGBTでそれら以外になりたいと思った事がある。
とてつもないどうでもいい自分語りです↓
ずっと今までLGBTに違和感を抱いてたんですよ。
いやLGBTがけしからんとか言うわけじゃないんですけど、LGBTってあの「異性」に恋愛してもいいし、「同性」恋愛したってそれはみんなの個性だから自由でいい、っていうことだと思うんですよ。
いや、それはいいんです、ぜんぜん俺も賛成なんですけど、でもずっと思ってたんです。
じゃあ「性の無いモノ」に恋愛するのは?って……。多分認められてないってことじゃないと思うんです。それは思うんです、ただ存在を知らなかっただけだと思うんです、そう、存在を知らなかっただけ…
他の多様性はみんなに存在を知ってもらえたけど、なんか、多様性からも仲間はずれ_差別と言うと大袈裟かもしれないですが__にされてた感じがしたんですよね。
でもこの記事を読んで、自分は虹色の外の黒と白なんだなって思いました。そして黒と白を理解してくれる人がいたのに感動しました…ありがとうございます
長文失礼しました、ただの自分語りですが、これも一部の黒と白の声だと思って聞いてくれたら幸いです。
追記:俺は女です、一応。
でも正直言うと◯ゃおよりコロ◯ロのほうが好きなんだよな……
ち○およりコロ○ロのほうがおもろいのは激しく同意いたします
個人的に1番好きな曲です!
世間では「多様性」「多様性」って言われてるけど正直難しいですよね〜
3番の過去で個人のことを後になって大勢が問いてくるのは最初気づかなくて、このサイトを見て理解しました。
ありがとうございます
この中には黒色も白色もないじゃないかっていう言葉が多様性に属せない人をうまく表現できててすごいなって思いました、、、、
ルナさんここでは関係ない人があーだこーだ言うなって言ってるのに某国のハロウィンじゃ自分があーだこーだ言う側になってる、、、なにやってんだよ!
確かに虹色なのに黒と白がない、、、。混ざると色が汚くなってしまったり薄くなってしまうからですかね?きっと色があまりにはっきりしてしまっている方達(白や黒の人)は、考えがはっきりし過ぎているから枠の中に入れてくれないのかもしれませんね。でも、多様性を認め合う人たち(虹色の方達)はある意味私たちを差別しているのかもしれませんね。難しい世の中になった物です、、
確かに虹色なのに黒と白がない、、、。混ざると色が汚くなってしまったり薄くなってしまうからですかね?きっと色があまりにはっきりしてしまっている方達(白や黒の人)は、考えがはっきりし過ぎているから枠の中に入れてくれないのかもしれませんね。でも、多様性を認め合う人たち(虹色の方達)はある意味私たちを差別しているのかもしれませんね。難しい世の中になった物です、、