───取り調べは順調かね

───宝石から国家秘密までも盗み出した世紀の大怪盗レッド・ハッチ
───結論から言うと、
───我々はキミはある恋人のために怪盗をしていたのではないかと考えている
───おそらくはジェシカという名前の

───図星のようだな…
そんなの聞いてないんですけど
───仕方あるまい たった今入った情報だからな
───世界中の警察やセキュリティはキミを認知した頃、キミが盗むと予告した物品にGPSや盗聴器を仕掛けていたのだよ
───圧倒的な身体能力、ウチの獣人のポリスでも追跡が敵わなかったほどだ、シンプルな追いかけっこでは勝ち目がないと結論付けたのだよ
───まあ…結局ここまでやったのに居場所を特定してもあっさり逃げられる始末だ 面目が丸つぶれだな

…
───それで一つ気になることがある
───追跡機能はどれも盗まれてしばらくしてから、解除されたり破壊されたりしていたのだが
───たった一つだけ、回収した盗品から音声再生が可能だったものがあった
───キミが最後に クリスマスイブの日に盗んだ【純白の五芒星】だ
───それはどうしてだ?

え、ええと
うっかりしてたんでしょ
───まあその可能性もゼロではないんだが
出頭する気だったから?
───そう考えるだろうな、普通は
───一度、追跡機器が仕掛けられていると分かれば次も警戒するはずだ。追手を巻いている最中にそこらに投げ捨てでもするタイミングはいくらでもあったろうが、どれも無力化されたのは盗まれてしばらくした後だった
───おそらく、今までは合流地点に居たキミの恋人とやらが解除していたのだと考えている
───キミは最後まで、そんなものの存在に気付いてなかったのだろう

…
───自首することになったのはその恋人になにかあったからだと推測している 少なくとも私はね
───しかし、そのジェシカという人物の情報がなさすぎるんだ
───キミの映った監視カメラを全てチェックしたが影も形もなかった

───なにしろ、彼女とキミを関連付ける有力な証拠はこれ一つしかないのだ そもそも証拠といえるかどうかも微妙なシロモノだが
───まあ 一緒に録音された音声を聴こうではないか

(しばらくのサイレンと銃声の音、レッド・ハッチのものと思われる息遣いが数十分に及ぶ、やがて息遣いと足音だけが残り、それも徐々に消える)
「…ジェシカ… さん?」
「…」
「ジェシカさん!よかった あえた!」
「えへへ」
「ちゃんと もってきましたよ」
「きっとワタシ アナタのためなら なんだって できるとおもうんです」
「…でも ちょっとだけ つかれました」
「すこしだけ やすんでもいいですか?」
「いっしょにいても いいですか?」
「そっちにいって」
「すこしだけ…」
「…」
(以下、電池切れまで無音)

───…その恋人とやらを示唆する手掛かりはこの音声のみだ
───全勢力を上げて調査しているが…正直、我々はジェシカという人物の足取りを全く掴めていない
───それもそうだ、だってこの音声には…
どうして彼女の声が入ってないんですか!

───…ひとまず取り調べは中断だ
───精神鑑定の準備を、彼を部屋に戻すぞ
それはさっきやりました!
ワタシはおかしくありません!
───まったく、世紀の大怪盗の動機は幻覚に踊らされてたのが有力説だなんてどう世間様に説明すればいいんだ
幻覚なんかじゃないです!ジェシカさんは居たんです!
アナタは見てないんですか!?
ねえ!どこに居るんですか!ジェシカさん!
ジェシカさん!

comment
…このタイプのやつ初めてだわ。すごい楽しかった
ハッチさんカッコいい!!
「OK!!」のところが特にカッコいい❤️
ジェシカさんはルナさんの快楽物質で見せられた幻覚だったのかな?
サビ?の「OKあなたが望むなら〜無敵のハッチさん!」の時に裏で流れているシャラシャラシャラシャラって音が聞いていてとてもいい気分になる[[[宝石を落としながら逃げているのが目的の為なら手段を選ばない人なんだなって言う義理人情?心情になる。
ルナさんにしといたら良かったのに…
愚かでいて美しい。そして哀れ。
いやぁ良い…
しかしそしたら誰が追跡機器を解除したんだろうな